
前進検証にかけたら大半の勝ちが消えた話
これまで進めてきた「過去のデータから優秀な通貨ペアを選んで組み合わせる」という手法が、本当に未来でも通用するのか。これを確かめるため、今回はもっとも厳しい条件である「完全前進検証(ウォークフォワード)」を行いました。

図: ウォークフォワード(前進検証)の考え方。過去でルールを決め、まだ見ていない未来で試します(後出しを防ぐ)。
これまで進めてきた「過去のデータから優秀な通貨ペアを選んで組み合わせる」という手法が、本当に未来でも通用するのか。これを確かめるため、今回はもっとも厳しい条件である「完全前進検証(ウォークフォワード)」を行いました。 これは、ある年に検証を行う際、その年以前のデータだけで通貨ペアを選び、その結果を使って「まだ見ていない未来の年」の成績を測るという手法です。いわば、カンニングを一切許さないテストですね。
厳しい現実を突きつけられた検証結果
まずは、その結果をご覧ください。
| 対象期間 | 年間収支 |
|---|---|
| 2020年 | -7.6% |
| 2021年 | -0.8% |
| 2022年 | -5.9% |
| 2023年 | +3.3% |
| 2024年 | +2.7% |
| 通算 | -8.3% |
| 5年間の通算成績はマイナス8.3%、勝ち越せたのは5年中で2年だけという結果になりました。 | |
| 以前の研究で、特定の通貨ペアを組み合わせることで17.7%のプラスを出せたことがありましたが、あれは「過去の結果を知った上で選んだ」ことによる選択バイアス(後知恵)が原因だったと断言できます。過去にどれだけ優秀だったペアでも、未来でも同じように勝てるという保証はどこにもなかったのです。 |
標準的なテクニカル手法の限界
今回の結果を踏まえ、ひとつの結論に至りました。クリーンなデータを用い、厳密な前進検証を行う限り、価格ベースの標準的なテクニカル手法(単体、特化型、組み合わせ)において、長期的に利益を出し続けられるような安定した優位性(エッジ)は見当たりません。 複数の通貨ペアを組み合わせることでドローダウン(資産の山からの下落率)を抑える効果は本物ですが、肝心の期待値がプラスでなければ、それは「ゆっくりと資金を減らす」ことと同義です。 これまでの検証で、以下の手法をすべて突き合わせても、生き残れる手法はありませんでした。
- 単一のテクニカル指標によるトレード
- 特定の市場環境に特化したロジック
- 複数の指標や通貨ペアを組み合わせたシステム これら、いわゆる「教科書的なテクニカルの探索」は、今回をもって打ち止めとします。これ以上掘り下げても、継続的な出金に足る優位性は見つからないという判断です。
今後に残された道
では、もう自動売買に未来はないのかというと、そうではありません。 今後、利益を狙うために残された道は、標準的なテクニカル指標の組み合わせではなく、価格以外のデータ(C)を活用することや、個人の市場観をロジックに落とし込むような、より独自性の高いアプローチだけだと考えています。 今回の検証で得られた唯一の成果は、どのような新仮説に対しても「これは本当に本物の優位性なのか、それとも後知恵の産物か」を厳密に判定できる検証基盤が完成したことです。M1日中(1分足で構築した日中の最悪損失)やモンテカルロ合格率(日次リターンを再標本化して算出したプロップ合格確率)まで含めたこの仕組みは、今後、偽物の手法をふるいにかけるための強力なフィルターとして機能してくれます。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。