
海外の無料EAを検証したら使える部品が出てきた
bmtrading.deで公開されている「ATR Candle Breakout EA」を、手元のデータで検証してみました。このEAは「ボラティリティ(価格の変動幅)が拡大したタイミングで、その勢いに乗ってエントリーする」という、いわゆるモメンタム手法です。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。
bmtrading.deで公開されている「ATR Candle Breakout EA」を、手元のデータで検証してみました。このEAは「ボラティリティ(価格の変動幅)が拡大したタイミングで、その勢いに乗ってエントリーする」という、いわゆるモメンタム手法です。 公開されているバックテスト結果は、2015年から2026年までの期間で利益率+39%、PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)が1.15、最大ドローダウン(資産の山からどれだけ下落したか)が9.6%というもの。これを再現できるか、まずは条件を揃えてテストしました。
検証結果の比較
| 戦略 | 期間 | 利益率 | PF | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 公開主張 | 2015-2026 | +39% | 1.15 | 約23% |
| 対称版 (H4) | 2015-2024 | +23% | 1.12 | - |
| ロングオンリー版 (H4) | 2015-2024 | +46.5% | 1.44 | - |
| ロングオンリー版 (H1) | 2015-2024 | +99.5% | 1.18 | - |
| まず、買いと売りの両方を行う「対称版」を試しましたが、成績はパッとしません。パラメータを反転させても結果が変わるため、安定した優位性(エッジ)とは言えません。 | ||||
| 一方で、買いのみに絞った「ロングオンリー版」は非常に優秀でした。H4(4時間足)ではPF1.44と安定感が高く、H1(1時間足)では利益率が大きく伸びています。重要なのは、パラメータを多少いじってもPFが1.20から1.84の間に収まること。これは「たまたま特定の数値で上手くいっただけ(過学習)」ではなく、本質的な優位性がある証拠といえます。 |
公開データと実測のズレ
公開されている好成績の裏側には、データ依存の「嵩上げ」が見受けられます。H1足の利益のうち、2015年から2024年までの10年間でプラス11.4%だったのに対し、2025年から2026年のわずか2年でプラス19.7%を稼いでいます。つまり、公開成績の約6割が、直近の特定のデータによって押し上げられていたのです。
金トレンド戦略における位置付け
このEAを以前から検証している「金(ゴールド)のトレンドフォロー」手法と比較したところ、興味深い事実が分かりました。
- Donchian戦略との相関は0.47、今回のATR Candle戦略(ロング)とは0.64。
- 両者は似ていますが、モメンタムのトリガー(仕掛けのきっかけ)が異なるため、完全に同じ動きをするわけではありません。 このATR Candle Breakout(ロングオンリー版)は、既存の金トレンド戦略における「別パターンのエントリー候補」として、ポートフォリオの多様化に役立ちそうです。
総括
他のEAについても併せて確認したところ、以下のような結果となりました。
- 高頻度スキャルピング系:コスト負けで大幅なマイナス。
- 逆張り系:明確な優位性を確認できず。 これらは、私たちがこれまで検証してきた「金や指数のロング・トレンドフォロー以外は厳しい」という結論と完全に一致します。bmtradingの戦略群も、結局のところ「ロング・トレンドフォローは本物、それ以外はコスト負け」という構造でした。 結論として、このEAはロングオンリーの設定であれば、金トレンドを狙う手法の一つとして採用する価値があります。
この検証のつながり
この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。