エントリーを1つ差し替えただけで全指標が改善した

トレンド · 1 min

XAUUSD(ゴールド)のエントリーロジックを、従来のブレイクアウト方式から「ATRcandle long」へ差し替えてみました。他のFX4ペアはそのままに、ゴールドのみ銘柄別に分岐させる形です。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

図: ブレイクアウトのエントリー例(XAUUSD 日足・実データ)。直近の高値を上抜けたところで買います。

XAUUSD(ゴールド)のエントリーロジックを、従来のブレイクアウト方式から「ATRcandle long」へ差し替えてみました。他のFX4ペアはそのままに、ゴールドのみ銘柄別に分岐させる形です。リスク設定を0.005から0.003に調整したうえで全体を再評価したところ、すべての指標で改善が見られました。

指標改善前(Breakout)改善後(ATRcandle)
総利益+49.7%+66.8%
月利0.30%0.38%
最大DD-7.9%-7.1%
PF1.281.29
MC合格率(全体)66%78%
特に最大ドローダウン(資産の山からの下落率)が改善し、モンテカルロ合格率(日次リターンを再標本化してプロップ合格確率を推定した値)が12.7ポイント上昇したのは大きな収穫です。M1日中(1分足で日中の口座推移を再構築した際の最悪の日次損失)も4.06%と安全圏を維持できています。
なお、ゴールドをATRベースにすると初期のストップロス(損切りライン)が狭くなるため、短い時間で決済される「最低保有時間違反」のログが出ることがあります。これはチャートの解像度による一時的な現象で、実機では強制ホールドによって回避できるため問題ありません。注意点として、この結果は2024年からの金相場急騰に一部助けられている側面があること、月利2%という天井は変わらないことを念頭に置いておく必要があります。

フィルタを重ねるほど月利が下がった

今回、ATRcandleに上位足のトレンドフィルタ(HTF)を組み込む検証も行いました。ゴールド単体で見ると、日足のSMA(単純移動平均線)をフィルタとして使うことで、ドローダウンが約半分にまで抑えられました。しかし、これをシステム全体に組み込むと、かえってリターンが低下し、合格率も下がってしまいました。 原因は、システム全体のドローダウンが「ゴールド単体の動き」だけでなく「複数銘柄の同時逆行」によって決まるためです。ゴールドの負けを減らしても、システム全体のボトルネックが解消されなければ、単にリターンを削るだけになってしまうのです。この経験から、部品単体の性能を上げても、それが全体の弱点でない限り逆効果になるという教訓を得ました。そのため、HTFフィルタは今回は採用を見送りました。

円クロスへの横展開は不発

ATRcandleを円クロス通貨(USDJPY、GBPJPY、EURJPY、CHFJPY)にも適用できるか試しましたが、結果は芳しくありませんでした。4ペア中3ペアで従来のブレイクアウト方式の方が優位であり、ATR方式ではドローダウンが大幅に悪化しました。 これは、ゴールドがトレンド重視の市場であるのに対し、円クロスはレンジの性質が強く、ボラティリティが拡張した瞬間のブレイクを狙うと「ダマシ」に遭いやすいためだと考えられます。過去の研究履歴とも整合する結果ですので、円クロスはこれまで通りブレイクアウト方式を継続し、確定システムに変更は加えません。

関連コード(再現用)

この検証は以下のスクリプトで再現できます(リポジトリ参照)。

  • strategies/atr_candle_breakout.py