無相関のトレンド核は原理的に作れないと分かった

却下手法 · 1 min

トレンドフォロー系のEAを運用する際、「複数の通貨ペアを組み合わせてリスクを分散させる」という手法は一般的です。

トレンドフォロー系のEAを運用する際、「複数の通貨ペアを組み合わせてリスクを分散させる」という手法は一般的です。今回、私は「相関が低い通貨ペア同士を組み合わせれば、ドローダウン(資産の山からどれだけ下落したかという、登山でいう下りの深さ)を抑えられ、その分レバレッジをかけて利益を伸ばせるのではないか」という仮説を立てて検証してみました。 全19の通貨ペアと金(XAUUSD)を対象に、トレンド発生時の優位性(エッジ)と、戦略ごとの日次相関を計算し、通貨ペアの組み合わせを最適化しようと試みたのです。

トレンドが出やすい通貨ペアの正体

検証を進めていく中で、ある決定的な事実に気づきました。PF(プロフィットファクター=総利益÷総損失。1を超えると黒字)が1を超えるような明確なトレンド優位性を持っているのは、調査した19通貨ペアのうち、わずか8つだったのです。

  • USDJPY (PF 1.56)
  • XAUUSD (PF 1.34)
  • GBPJPY (PF 1.25)
  • EURJPY (PF 1.21)
  • AUDJPY (PF 1.19)
  • CHFJPY (PF 1.15)
  • NZDJPY (PF 1.08)
  • CADJPY (PF 1.01) 驚いたことに、これらはすべて「円クロス」と「金」でした。EURUSDやGBPUSDといった主要なドルストレートを含め、円絡み以外の通貨ペアには、今回の戦略において有効なトレンド優位性がほとんど見当たりません。つまり、「トレンドが発生する通貨=円クロスと金」であり、これらはそもそも相関が非常に高い「塊」そのものだったのです。無相関のトレンドペアを無理やり探すこと自体、土台無理な話でした。

相関を下げようとすると効率が悪化する

それでも諦めきれず、内部相関を少しでも下げようと「相関最小化バスケット」を組んでみました。 結果は、期待とは裏腹に以下の通りでした。

指標改善前 (robust5)改善後 (相関最小化)
内部相関0.210.16
最大ドローダウン-21.7%-24.8%
効率 (リターン÷DD)8.857.63
相関を少し下げるために、比較的安定していたEURJPYを、個別ドローダウンの大きいAUDJPYに入れ替えたのですが、結果として相関低下による恩恵よりも、個別のドローダウン悪化のダメージが上回ってしまいました。現在採用している「robust5(優位性で通貨を選別する手法)」が、相関の面でもすでに最適に近いバランスだったようです。

FX内での分散には限界がある

今回の検証から、FXにおけるトレンド優位性は「円クロスと金の相関クラスタ」に集中しており、FXの中で通貨を分散させてもシステム全体のドローダウンを劇的に下げることは難しいという結論に至りました。分散させるための「無相関なトレンドペア」という材料が、FX市場にはそもそも存在しないのです。 システム全体の安定性を高めるために残された道は、FXや金とは異なる動きをするアセットクラスを組み込むことだけです。すでに導入済みの株価指数などは良い分散材料ですが、これ以上「核を無相関に組み替える」というアプローチで改善を図るのは不可能だと判断しました。今回の検証で、現在のシステム構成がひとつの限界点(フロンティア)にあることが改めて確定しました。