市場全体が売られすぎの日は買いか、半分だけ本当

平均回帰 · 1 min

市場全体の「売られすぎ」が同時に発生したとき、あえて逆張りで買い向かう手法は有効なのか。今回は、市場の広がりを示す指標である「ブレッド」と、平均回帰(価格が一時的な偏りから中央値に戻る習性を利用する売買)を組み合わせた検証の結果をまとめます。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

図: 逆張り(RSI)のシグナル例(EURUSD 日足・実データ)。RSIが売られすぎ圏に入った反発を狙います。

市場全体の「売られすぎ」が同時に発生したとき、あえて逆張りで買い向かう手法は有効なのか。今回は、市場の広がりを示す指標である「ブレッド」と、平均回帰(価格が一時的な偏りから中央値に戻る習性を利用する売買)を組み合わせた検証の結果をまとめます。

多数の同時売られすぎは「買い」ではない

市場全体の売られすぎを指すブレッド(同時売られすぎ割合)が高いときほど、実は成績が悪化するという結果が出ました。

ブレッドの状況勝率PF(プロフィットファクター)
Q1(ほぼ0:孤立した押し目)79.9%2.25
Q5(0.18以上:多数の投げ売り)59.7%0.97
PF(総利益÷総損失)が1を超えると黒字、1を下回ると赤字を意味します。データを見ると、ブレッドが高い(0.3以上)ときはPFが0.78まで低下しており、市場全体がパニック的な投げ売り状態にあるときは、平均回帰が働かずにそのまま下落し続ける「落ちるナイフ」状態であることがわかります。一方で、孤立した押し目は健全な調整として機能し、高い勝率を残していました。

フィルタを重ねるほど成績が落ちる罠

この分析に基づき、「ブレッドが高いときのエントリーを避けるフィルタ」を作れば精度が上がるのではないかと考えました。しかし、実際に試してみると逆効果でした。

  • 全期間のフィルタなし:PF 1.49 / シャープ・レシオ 1.11 / r-DD(ドローダウン:資産の山からの下落率) 0.54
  • ブレッド0.18未満に制限:PF 1.12 / シャープ・レシオ 0.28 特にOOS(未知の期間でのテスト)で見ると、フィルタを適用したことでPFが1.38から0.86まで大きく悪化しました。 これは、低品質なトレードを除外しようとすることで、結果的に勝ちトレードまで削り落としてしまい、多数のポジションを同時に持つことで得られる「分散効果」までもが失われてしまったためです。今回の件で、特定の条件を除外フィルタにする手法は、かえってシステムを弱体化させることが改めて確認できました。

結論と今後に向けて

「市場がパニックで売られている時の平均回帰は質が低く、孤立した押し目は質が高い」という洞察自体は正しく、別のシステム(v1.4.0)における株式リスクオフ・フィルタの有効性を裏付ける強力な根拠となりました。 しかし、今回のシステムにおいては、あえてフィルタをかけずに全セットアップを取るのが最適解です。余計な小細工はせず、v1.5.0の構成をそのまま据え置くことにします。

この検証のつながり

この検証は、過去の次の検証を踏まえています(前回ダメだった→今回こうした、別ロジックとの比較など)。